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第3章 その後の楽しみ

 さて、たっぷりの想い出とお土産を車に詰め込み家路へと向かうすー太郎親子であった、パパ今日はすっごいご馳走だね うーんパパはお刺し身がいいなー ぼくはねー エート エート おさしみっ!。 そんな事をお話しながら運転しているとピロピロピロと電話が鳴った 妻のテディであった、

テディ  どお 楽しかった? お魚は釣れたの?
すー太  楽しかったよー 最高に幸せだ もう病みつきになっちゃうかもね。
ひさ君  僕パパより沢山釣ったよ、パパ下手くそなんだもん。
すー太  ひさ君に釣らせようと一生賢明で自分のは二の次だったんだ。
ひさ君  ウソダヨー ヨッシー爺さんが僕に教えてくれたんだよ。
すー太  そ そうだったかなー、ところで お魚一杯あるけど どうしよ?
テディ  一杯ってどれくらいなの?
すー太  えーと 大きいの3匹 赤いの6匹 アジみたいなの2匹 ちょっと小さめのが5匹 だったかな?
テディ  スッゴーイ! 赤いのは多分真鯛ね、ほかの魚はなにかしら?
ひさ君  カンパチが2匹、ワラサが1匹、シマアジが2匹、イサキが5匹だよ。
テディ  ひさ君賢いわね 魚の名前おぼえちゃったのね さすが私の子だわ。
ひさ君  うんヨッシー爺さんが教えてくれたんだよ、今度はママと二人でいこうね。
テディ  そうね、パパは留守番ね。
すー太  ひぇー そんなー 僕もつれっててよー
テディ  ところで、そんなに沢山の魚どうしようかしら、とても食べ切れないわね。
すー太  僕はもう疲れちゃったんで、帰るまでに考えておいてね。
テディ  はい、なんとか考えてみるわ、それじゃ気をつけて運転してきてね。

電話のあとテディは困ってしまいました、生まれつき他力本願のテディは良いことを思いつきました、置いたばかりの受話器を手にとり実家の母に事情を話し助けてもらう事にしました。
テディの実家は三重県の漁師村、頑固な父親の元で苦労に苦労を重ねた母は料理の達人であった、「はいわかったよ、魚の料理方をFAXとかいうもので送るから 少し待っちょれ」 やっぱり頼りになるわー お母さんありがとう 「おまえさんは 小さい時から不器用でなんど教えても覚えなんだなー お嫁に行くとき心配で心配で仕方がなかったよ。」
大丈夫よ お母さんが丈夫でいる限り困ったらいつでも聞けるからね。


お母さんに料理のレシピを頼んで一安心、少し気が楽になったテディはいつもの日課であるTVドラマを見ながらチョット昼寝・・・・ 目が覚め夕食に備え台所の準備に取りかかったテディは お世話になったミツヤさん達の事を思い出しました、さっそく電話である。
「もしもし すー太郎の家内ですが先日はお世話になりました、ところで今日 主人が早速の釣行で大漁だったんですよ、お礼と言っては何ですが宜しかった少し お分けしたいんですが」 「そうですか、良かったですね直ぐ伺います」 暫くしてミツヤさんが現れました、待ち構えていたテディはすぐコーヒーを入れミツヤさんにすすめながら言った、釣堀って沢山釣れるんですね、ミツヤさんはいつもどのように召し上がっているんですか? イヤーいつも大漁とは限りませんよ、でもたまには釣れすぎて困ってしまう時もありますね、 大漁の時はご近所や友人に配っていますよ。
プップー どうやら すー太郎親子の到着です、車が止まると同時に飛出してきたひさ君がママー見て見てすっごいよー ほとんど僕が釣ったんだー。すー太郎が重たいクーラーを車から降ろしている間にすっかり ひさ君の手柄にされてしまいました。
やあ みつやさんいらしてたんですか、まあ見てください今日の釣果です と言ってクーラーの蓋を開けました。 うっ と一瞬声に出かけたのを押さえ冷静を装いみつやさんは語った、「はっはっ初めてにしてはまあまあの成果ですな」しかしその頬は悔しさに震えていました(自分も一緒に行けばよかった) 「私もこの位はいつも釣っていますが釣りは数じゃないんですよ」と言いながら目は青物の数を数えていました。
待ってましたと テディ あらーそーですか 毎回こんなに沢山釣っているんですかー スゴイですねー みつやさんって釣りの名人だったんですね、私どうして良いかワカンナーイ と言いつつ みつやさんの目の前にまな板と包丁をさりげなく置いたのであった。


 みつやさんを中心に包丁・まな板・大漁の魚、それを取り囲んでテディ・ひさ君・すー太郎 そうです、みつやさんは既にすー太郎一家の術中にはまっていたのです。
突き刺さる視線のなか みつやさんは包丁を手に解説しながら魚をさばきだしました。

☆うろこの処理
  ほとんどの魚に鱗があります、必ず一番最初に鱗を取りましょう。
  鱗を取る専用の器具を使うと簡単に綺麗に取ることができます。
  包丁の背で身を擦って取ることも出来ます。

☆内蔵を取る
  おしりの穴から包丁を2cmほど入れ、そのまま喉元まで裂きます。
  この時あまり深く包丁を入れると、内蔵に傷がついてしまいます。
  腹を開いた魚から内蔵を取り出します。
  新鮮な内蔵は食材となりますので丁寧に処理しましょう。

☆3枚におろす
  胸ヒレの裏側から包丁を入れ頭を切り離します。
  切り離した頭からエラを引き抜きます
  背ビレや尻ヒレから中心の背骨に向かって包丁を入れます。
  包丁は一度に3cmくらいの深さで2・3回に分けて切るのがコツです。
  切れた身の部分を手で持ち、めくる様にして背骨の所を切り離します。
  半身が出来たらひっくり帰して同じ処理をする。
  中骨に身が多く残っても気にしないこと。

☆皮を剥ぐ
  皮が着いた側をまな板に付け、尻尾の側の端を指で押さえます。
  押さえた所から2・3cm開けて斜めに少しだけ包丁を入れます。
  皮を切らない程度まで切ったら、包丁をまな板と水平に切り進みます。
  皮を付けたまま湯通しする料理もあります。

参考:新鮮な魚は「うろこ」と「えら」意外は全て食材になります。
参考:冷凍保存するときは必ず内蔵の処理をしましょう。


そうこうしていると、おばあちゃんからのFAXが届いていました。

■おばあちゃんのレシピ その1

鯛しゃぶの作り方
1、鯛のウロコをひく。
2、皮をつけたまま大きくうすめにつくります。
3、鍋には水、昆布、酒を入れ、鯛のうまみが汁に出過ぎないよう塩を少々入れる。
4、沸騰したら、もうできます、お好みで季節の野菜など入れてみて下さい。
5、大根おろし+ポン酢でいただくのがお勧めです。

雑炊の作り方
1、鯛しゃぶの鍋の中身をきれいに取り除き、汁だけにする。
2、ご飯を入れ一煮立ちしたあと、醤油で味を整える。
3、火を落とす。
4、溶いた卵を鍋の外側から渦を巻くように廻しながら中心まで入れる。
5、お好みでコショウ、ねぎ、海苔等を入れていただきます。

ワンポイントアドバイス
 コショウを使うと味がしまり、深みが出ます。
 そうめんにする場合三輪そうめんがお勧めです。
 化学調味料は不可!

■おばあちゃんのレシピ その2

おいしい鯛のアラ炊き
1、なにはともあれ湯を沸かす。
2、ウロコ、エラ、胃袋の中身を取り除く。
3、アラに熱湯をかける。
4、鯛を適当な大きさに切り分け同時に水洗いする。
5、背びれ、胸ひれ、尻尾等は取り除く。
6、味付けは醤油、砂糖、お酒、ミリンあれば 土しょうがを入れる。
7、後は コトコト煮ながら美味しくなるまで待つのみ。

ワンポイントアドバイス
 鯛ばかりでなく青物でも美味しいですよ。
 脂の強い場合は酢を少々使うと味がシミます。

■おばあちゃんのレシピ その3

青物の醤油漬け
1、3枚におろして皮付きのまま節にする。
2、脂が乗ったものは薄めに切るのがミソ。
3、醤油、酒、(ミリン)の漬け汁に一晩漬ける。
4、朝になれば準備完了、冷凍すれば保存食。
5、焼きたてを大根おろしを添えて食べます。

ワンポイントアドバイス
濃い味の好きな方は、半焼のとき再度汁に漬けて焼きます。

■おばあちゃんのレシピ その4

鯛めし
魚:真鯛、黒鯛、ブ鯛、カマス、タカノハ
お米:1升
醤油:茶碗に6分目
隠し味:酒、砂糖適量(お好み)

@お米は普通に炊きますがその上に魚を乗せて炊き上げる。火力の強いガスなどがいいですが、炊飯器でもできます。そのときは魚はカマスくらいしかできませんが・・
魚は、いずれも内臓、えら、うろこは綺麗にしておく。そして、火が通り易いように裏表に何本か切れ目を入れる。
Aカッチと切れて炊き上がったら、用意してある醤油、砂糖、酒を (お茶碗の中で良く混ぜてから)その上からかける。
B15分蒸らす。
C身だけをごはんに残し、薬味に刻みねぎを混ぜたり、三つ葉などがあればごはんの上に散らす。

ワンポイントアドバイス
魚の入れ時があります、ご飯がグツグツと煮えてきたら、裏表に切れ目をいれた魚を入れてください。
最初から入れなくても大丈夫です。
熱が良く通るように切れ目をいれているから・・・
しかし、カマスのような細いものは火の通りが早いですが真鯛などはいくらか早めの方がよいでしょう。
この当りは感で勝負です。

■おばあちゃんのレシピ その5

さよりの寿司
米:5合
砂糖:お茶碗1ぱい  ( 別にいそざいらをつけておく酢、砂糖、塩)
酢:お茶碗8分目
塩:一握りの半分

@寿司めしの加減でお米を炊く。
Aさよりをお腹の方から開く。姿寿司にするときは頭もつけておく。酢、砂糖、塩、を良く混ぜてその中に漬けておく。
Bすし飯ができたら(米の熱がさめるまでおく。)布きんを使って魚の形を整えながら姿の寿司を作る。

■おばあちゃんのレシピ 番外

☆たこの湯がき方
@たこの頭をひっくり返してたこの内臓?を取る。
A塩を振ってぬめりを取る。よくもむ。
Bよく水洗いして、なべにたこを入れて水から炊く。塩が残っていると塩からいので良く洗うこと。
C炊きあがってきますがたこの頭にお箸をいれ、すーと通れば炊きあがっています。
Dすぐ、なべから出します。炊きすぎると美味しくありません。

☆アジの丸干し(干物)
材料 アジ:5キロ  塩:汁椀に1杯
@アジ5キロに塩を振る。まんべんなく塩が行き渡るようにする。
(チャーハンを作るとき、鍋振りをうごかしますがそのように・・・)
A4時間おく。
B塩を水であらう。この時点でアジの目が白くなっていたらよい。
C風通しの良いところで2〜3日ほす。干し加減はお好みで。
D焼いて食べる。

☆カンパチ、わらさ
やはり、お刺身か醤油漬けにして食べます。
切り身を塩焼きにしても美味しいです。

☆シマアジ
やはり、お刺身か塩焼きです。

☆イサギ
塩焼きかサイズの大きいのはお刺身
イサギの刺身は酢味噌で食べても美味しいです。

☆きびなご、いそざいら(さより)
きびなごは頭だけとって酢味噌で食べます。
イワシの仲間と思いますが新しいものはとっても弾力があり、きれいです。シンプルにてんぷらにするのも人気があります。
特に子供は喜びます。


FAXで届いたレシピを見たテディは 昔まだ幼いころを想い出したのであった。
家族でのお祝い事とか、盆、正月の時 いつもお母さんが作ってくれた魚料理である、テディの想い出はいつも食べ物と共にあったのである。
みつやさんの包丁裁きを見ながら今夜のメニューを考えていたテディですが、どうしても お刺し身しか自信がありません、困った!!
一通りの魚の裁きが終わったみつやさんは手を洗いながら 出かけるときカフェ傳八の熊五郎マスターに電話しておいたんだけど、まだ来ませんねー
とりあえずスープでも作りますかと言って一番大きな鍋でお湯を沸かしていると、熊五郎さんはじめ みつやさんの友達が続々と到着し ついでに隣近所の人達も集まりました。

すー太郎が言いました、家のママは お刺し身以外の魚料理はさんまの塩焼きしか作れないですよ、もし宜しかったら皆さんでお魚分けていただけませんか。

熊五郎が言いました、なにーそれじゃワシが作って差し上げよう、みんなで全部喰ってしまおうじゃないか!    オーッ

その夜、大勢の仲間と共に遅くまで酒盛りが続きましたとさ・・・・・・
本日の最高の釣果は大勢の友達でしたね。

終わり